2004-11-01から1ヶ月間の記事一覧

短歌日記

どこかにはまにあう電車つぎもまた季節そのつぎもまた季節

『現代短歌 そのこころみ』つづき

結局『短パラ』『短プロ』に関しては書評的に内容に寄り添って書かれていたので、それらの本がここに取り上げられている意味、みたいなものをあまり強く意識させられなかったようだ。あとこの本の後半は前半のエッセイ的な抑え気味のトーンから徐々に変化し…

読んでいる本

●『現代短歌 そのこころみ』関川夏央 以前ちょっと立ち読みしたとき「晩年の茂吉がもうろくして人の手を食べようとした」というような変な話が淡々と書いてあったので気になってた。淡々として著者があまり首をつっこまずエピソードや客観的事実そのものに語…

短歌日記

セーターにそんな模様が混じるのを指をくわえて見ているばかり

小説の行き先

小説を書くときは地べたに這いつくばって芝目を読むように、その小説がどこへ行こうとしているかをあらかじめ読み取って正しくその方向へむけて、いくども修正をくりかえしながら言葉をつなげていく必要がある。どんな小説を書くのかを選ぶのは書き手の自由…

正岡豊『四月の魚』の十首

これからは読んだ歌集の十首選をのせておくことにした(付箋をつけて歌集を読む習慣をつけるために)。『四月の魚』は近所の図書館にあるのをつい最近まで気づかなかった。俳句の棚にあるんだもの。 きみが首にかけてる赤いホイッスル 誰にもみえない戦争も…

11/9のコメント

>narui_aruhaさん こんにちは。いま上遠野浩平の『冥王と獣のダンス』という小説を読んでいて、私と同年代のこの作家と西尾維新の文章をなんとなく比較しています。上遠野氏の文章は簡潔で無駄がないので読み飛ばす必要もなくすらすら読めるんですが、そこ…

短歌日記

とびちった花びらも濡れた下生えも気にせず進め けど首がない

11/9のコメント

>id:dice_queさん 悩ましいです。おっさんが読んでは申し訳ないような場違い感があるので、世代論にするとますますおっさんとしては身の置き場がなくなるようで、なんか違う落としどころを見つけたいのですが。 キャラクターが人形遊びのように作品世界をゆ…

『クビツリハイスクール』について付け足し

この小説は頭のいい中学生が背伸びして書いたような文章で(たとえば中原昌也は「頭の悪い中学生が背伸びして書いたような文章」であるところに批評性が宿る)、ピントのぼけた映像を威勢よく見せられているような痛さともどかしさがつきまとうのだけど、ピ…

かぼちゃを煮すぎながら

読んだ小説 ●『白バラ四姉妹殺人事件』鹿島田真希 ●「五郎の読み聞かせの会」福永信(『群像』9月号) ●『クビツリハイスクール』西尾維新 南瓜の煮物をつくったら煮すぎてとても不味くなった。南瓜を煮ると必ず煮すぎて不味くなるので、それに懲りてしばら…

短歌日記

ようするに世界は丸く坂道をころがりおちる底を打つまで

遅れてくる意味

『ナチュラル・ウーマン』松浦理英子 読んでいるときや読み終えた直後よりも、しばらくたってから遅れて読後の感情がかたちをとりはじめたらしく、気がつくとこの作品のことを考えていたりふいに涙腺にこみあげてくるものがあったりする。 小説の言葉よりも…

自選五首&蛇足

●鍵穴をくちびるに持つドアとして天国に立つ諦めながら (ありがちなメタファーとして読めそうなのに、わずかにねじれが生じているため読めば読むほど答えにたどりつけない、という歌が好ましいと思う。親しい人の顔を見かけて気軽に声をかけようと思うのだ…

題詠マラソンの百首(短歌日記)

先日完走した題詠マラソン2004への投稿歌100首をまずは一挙掲載します。てきとうに読み飛ばしてその下を読んでください。自選五首と自己解説のようなものを書いてるので。 いま地球空洞説を支持するともれなくひび割れるくすり瓶 多い日も安心してる うた…