2004-08-01から1ヶ月間の記事一覧
第三回歌葉新人賞候補としてこれからおおっぴらに審査されます。 審査員三人ともに候補にあげた作品はなく、二人から候補にえらばれた作品は三つある。そのなかのひとつという微妙さ。この微妙さに約一ヶ月間耐え続けることになる。
なつやすみしか終らないそれ以外すべてはつづく夜が明けても
短歌の定型は不自由で貧しいものだという考えがまず前提にある。今どき57577の制限を受け入れるのになんの抵抗もおぼえない感性を私は信用する気になれない。57577に違和感をおぼえない日本語の使い手だけが短歌に近づけるなら、短歌は現在的な感…
飼い犬におしえた芸をきみもする いくつものいくつもの墓石
>id:mass-noさん こんにちは! なんか、はてなキーワード「枡野浩一」のリンク不要/必要の投票に一喜一憂されているという噂を聞いたので、さっきぼくが「必要」に投票しておきましたよ! ぼくと同じように、mass-noさんを「必要」に思ってるみなさんは思…
働かないぼくらのために百円で売ってブック・オフすべての本を
>id:mass-noさん わたしも最初「おまえはハゲあたまー」って直球でいこうと思ったんですが、友達に言ったら「枡野さんにハゲはまずいよ」と忠告されたので婉曲表現にしました。 でもなんで「まずい」のか聞かなかったんですよね。もしかしたら「枡野浩一は…
「盆栽をありがとう」って書かれてた差出人に見覚えがない
id:mass-noさん 『ばーか! ばーか! おまえのかあさんでーべーそー!!』 「そーゆーおまえのとうさんハゲあたまー」
カレンダーを眺めていると、たとえば明日や明後日や、十日後や一ヶ月後のそれぞれの日付がホテルの部屋のようにすでにどこかに準備されていて、わたしの訪問(宿泊)を手ぐすねひいて待ち受けているような気がしてくる。 この錯覚はけっこう不快なところがあ…
『短歌があるじゃないか』穂村弘・東直子・沢田康彦 同じ著者たちによる『短歌はプロに訊け!』の続編。このシリーズが面白いのは、プロが「素人」の短歌作品を評するにあたって(こうした企画の定石である)添削はほとんど行われず、批評よりもまず鑑賞の態…
幽霊の「無意味」な恐怖を味わうには実話怪談物が最適。私のイチオシは、中心に意味の空白を孕んだまま構築されてしまうドラマが恐ろしい平山夢明編著『「超」怖い話』シリーズだが、老舗の『新耳袋』シリーズのドラマにならない断片性は九十九話の積み重ね…
夏なので「幽霊」について考えてみよう。 私の持論では、幽霊というのはみなどこかしら気が狂っている。完全に正気な幽霊というのはありえない。いたとすればそれはファンタジーの住人としての幽霊であり、ファンタジーというのは現実を反転させた空想界の出…
おとといの日付で「(短歌の)いわゆる愛唱性と再読性はおそらく厳密には矛盾する」なんてことを書いたのだが、よく考えたら愛唱性とは再読性を含んだものじゃないか、という気がしてきた。あの文章では読者による歌の「反芻」と同じ意味のつもりで「愛唱」…
ホテルにはひかりあふれてその島をやつらが狙う目印になる
以前から謎だったのは枡野浩一の短歌を「読む」ことのむずかしさである。読んでもおもしろいとは感じられないが、積極的に嫌うようなアクの強さも感じない。たとえば片岡鶴太郎の絵を見るとムカムカくるが、枡野浩一の歌を読んでもとくに腹が立つわけではな…
歩かれる右手を蟻にテレビでは行方不明者ばかりをさがす
自転車をひきずる森でかなたより今うでの毛のそよぐ爆発
●『癒しのチャペル』辛酸なめ子 自己卑下のスタイルからセレブを上目遣いにほめ殺しの言葉でつつみこみ地獄の底へひきずりおとすという黄金の展開を浴びるように堪能する。新日本vsUWF5対5イリミネーション・マッチにおける上田馬之助の仕事っぷりをほ…
かたかたと最初にもどる 目をあけておはようと言う 知らない声だ
●本のページを1文字分、三十一ページ下までくりぬいて引きずり出したあとに残った穴ぼこ。 ●草で森を、石ころで山を、マッチ箱で町を表現した箱庭(人間は人形?一本の釘?)。 ●たとえばおまわりさんを「制帽」と「警棒」と「ピストル」であらわしたもの(…
目の前がくらくなるほど正確に寝息をたてるあなたが部屋に
「桜の開花は目前に迫っていた」保坂和志(『新潮』6月号) 保坂氏の小説は読んだことがなくて、エッセイは何冊か読んでいるし『書きあぐねている人のための小説入門』という本ももちろん読んでいて、小説家として信頼している人であるにもかかわらず『季節…