2006-02-01から1ヶ月間の記事一覧

小説の記憶喪失

私が長い小説(と感じるのはいわゆる掌編を除く短編以上=ほぼすべての小説のサイズなのだが)を書き上げるのを非常に苦手にしている――と言っても別に掌編なら中々のものだとか「インターネット作家」的夜郎自大を発揮したいわけではなく、単に掌編以上の小…

超怖Η全話ショートレビュー(5)

寒空の下の徹夜バイトから昼前に帰ってきて、眠くてたまらないのだがうまく眠れないまま日が暮れた。頭も体も全然使わない仕事な為疲労がきわめて局部的なものでしかなく、つまり24時間仕事らしい仕事もせずひたすら道端に突っ立ってたり、公園のベンチで震…

超怖Η全話ショートレビュー(4)

平山夢明編著『「超」怖い話H(イータ) (竹書房文庫)』(竹書房文庫)全話に短く感想をつけるシリーズ。 前回一話分飛ばしていたので、今回はその話(「オーラ」)から。 オーラ 幼児語の意味を明かすタイムラグのさりげなさ。エッセイ風。 土いじり ガスメー…

文章の足場

文章というのは、そこに書かれていることだけを読むというわけにいかなくて、そこには書かれてないことも同時に読むことでようやく読むことができる。 そこに書かれてないこと、というのは読者の頭の中にあるもののことで、読者は目の前にある文章の余白を自…

お仕着せ

ひとつ前のエントリー(UHFで心霊ドラマ)はあらためて読み返してみると、内容的にちょっとどうかと思うところがある。内容的にというより表現的にというべきか。表現と内容は別々のものというわけではない。 何か表現物に接して「思わせぶりでないところ…

書ける気持ち、書きたい気持ち

今年の前半に小説の(脳内)締め切りが最低二つはある(ことになっている)のだが、いつものことながら書くことにいっこうに本気になれないというかエンジンがかからないというか、本気になったりエンジンをかけることをわざと避けてばかりいるかのようでさ…

UHFで心霊ドラマ

このあいだ帰宅するときふとアパートの屋根を見上げると、「あ、UHFのアンテナがあるぞ」と私は驚いた。うちのボロアパートにはUHFのアンテナがなかったはずなのである。少なくとも私がここに引っ越してきた十年前には、確実になかった。横浜から今の…

超怖Η全話ショートレビュー(3)

平山夢明編著『「超」怖い話H(イータ) (竹書房文庫)』(竹書房文庫)全話レビュー三回目。 萌し 1ページ目に省略/圧縮されている情報量がさりげなく只事でない。平山節は内に視えないバロウズを飼っている。また返答に見える「うーん」の入り方の呼吸とか…

超怖Η全話ショートレビュー(2)

平山夢明編著『「超」怖い話Η』全話の感想。その二回目。 どんどん変に…… 平山怪談の定番話法にふいにおとずれる切断。必要最小限の言葉で(最小限ゆえ機械のように容赦なく)地獄のとば口まで運ばれる。 故障 「魂って上にあがっていくものでしょう」という…

お知らせ(短歌日記)

ポプラ社のWebマガジン、ポプラビーチの「日々短歌」の二月分に五首寄稿しています。 http://www.poplarbeech.com/ 「日々短歌」は毎月何人かの歌人の書き下ろし短歌が、日替わりでランダムに一首ずつ表示されるコーナーです。なので何日に私の歌が読めるの…