2007-02-01から1ヶ月間の記事一覧

私は花粉症ではないが、この季節になるとくしゃみと鼻水が止まらなくなり、喉がいつもイガイガしている。だが花粉症というわけではない。そう確信するのには理由があるが、今はそれが思い出せないだけだ。毎年同じ症状にみまわれ「今年こそ花粉症かもしれな…

比喩の横滑り

ボリス・ヴィアンについて語った文章ですごくいいのを見つけたのでメモ。 http://www.esquire.co.jp/web/music/2006/12/33_1.html ヴィアンの発想というか文章の特徴っていうのは、鉱物と植物と動物とか、光と水と蒸気とか、乾いたものとぬるぬるしたもの、…

巣窟

蛾の大きいのが窓でばたついていた。入院してる知り合いの顔が浮かんで仕方ない。奥さんに電話すると話中で、今朝見たみじかい夢の報告を義母にしている。夫が妊娠する夢だ。

不案内

終点に着く前にバスは空になった。団地のどん詰まりから先は海で、運転手は右手で目障りな蠅を払う。すると質問が止んだ。 断崖にいたる道筋を、云いさした舌先が乾いている。

ルール

怪談。80字以内。 てのひら怪談加門 七海編 / 福澤 徹三編 / 東 雅夫編

車掌

「終点ですよ」そう声がした。制帽の下の白い顔が目の前にある。歯の隙間からうめきで返事をし墓石から腰を上げる私。無惨に菊を蹴散らした自転車は闇の底に転がっている。

タテ、ヨコ、てのひら

人間の視界は横に広い(目が横に並んでる)ので、横書きの文章は縦書きより多くの文字を同時に目に入れることができるわけです。つまり横書きのほうがずっと効率よく読めるはずなんだけど、なぜか日本語では縦書きが標準なんですね。 そのことと、日本で短詩…

自由行動 これなの、と彼女は彼にそれを差し出した。何これ? と彼。これはね、こうして着るの。たちまち彼女は裸になった。それが二つあるうちの、一つに彼女自身が潜り込む。ほらね、わかるでしょ。ああ、なるほど着ぐるみかい。そう、着ぐるみ。うなずき…

カルヴィーノの小説は読んだことがない

イタロ・カルヴィーノ『カルヴィーノの文学講義』読み中。気になる部分を抜き書き。 言ってみれば、ペンを執って書き始めた瞬間から、言葉が、書かれた言葉が問題になって来るのです。初めは視覚的イメージに釣り合った言葉を探すこと、ついで最初の文体の調…