2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧

死に遅れ

われわれが具体的な作品のうえに見いだすのではなく、頭の中でじかに想像してしまう〈物語〉は、その完璧さのあまり死者の世界に属している。 だが、それが具体的に小説であったり映画であったりマンガであったりするかぎり、作品は〈物語〉を網羅することが…

ロコ!思うままに

十日以上前に引いた風邪の影響が微妙に残り続ける。鼻水の量が通常比二十倍くらいなのでティッシュの消費がやたら早いし、飲むのをやめて一週間以上たつ風邪薬の副作用でなった便秘も治らないまま。ヨーグルトとかバナナとかキムチとかパイナップル缶とか沢…

物語について

物語とはある種の見通しの悪さのことである。死角の存在を告げる遮蔽物がそこにあることを意識させる風景、が物語の風景である。そこが世界のすべてを見通せる場所でないことを暗示する何かが、つねに視界に入り込み続けているのが物語という状態である。遮…

歩行屍

首を刎ねられた日本人はこう歩く、という教育映画が水族館の暗さを利用して水中に投影される。切腹の誤った解釈が字幕で流れ、まばらな客の中の黄色い顔が屈辱に歪む。

マンガは映画と詩の間にあるのかもしれない

西荻怪談の参考になるかもという下心で借りてきた『西荻窪キネマ銀光座 』(角田光代・三好銀)という本は、西荻とはあまり関係がないような、しかし濃厚に西荻的なのかもしれないという本だったけど、この本で三好銀という人の描いてるマンガがものすごくい…