小説

はじめて降りた駅

落雷でPCが破損し、一ヶ月以上ネットを離れている。数日の禁断症状を乗り越えると、この状態(ネットにおいそれとは繋げない毎日)が「正しい」状態だと感じるようになった。すると一日はちゃんと24時間あるし、本は読めるし、昨日と今日は違うし、私は私だし、…

文章について/モンタージュについて(Twitterより)

文章について ■ 2009年09月19日(土) 岡安恒武『湿原』読みちゅう。図書館にあった。 posted at 10:01:09 私は詩(現代詩)を独立した作品として読む読みかたがわからないので、ずっと続いてる文章の一部を切り取ったもの、のようにしか読めないんだけど、そ…

間に合った

ビーケーワン怪談大賞ブログ http://blog.bk1.jp/kaidan/ 『蛾』/我妻俊樹 http://blog.bk1.jp/kaidan/archives/010057.html 『薫』/我妻俊樹 http://blog.bk1.jp/kaidan/archives/010066.html 徹夜したよ!

抱負的な

年の初めは一年に呪いをかけることができるので、せっかくだから。 今年は、自分にとって本当に面白いものだけ書くようにしたい。人の評価を気にすると、外在的な枠にどう自分を合わせるかが重要になる。そこ(枠)が審査が行われてる現場だから。 すると枠か…

勇気の見せ方

作品に必要なものは勇気だ。根拠の積み重ねで固めていかないと近づけない場所はある。だが最後まで架け橋が届いているものは作品とは呼べない。 根拠をつなげても届かない場所にむけ、どこかで勇気をふりしぼって跳び移っているのが作品だ。 跳んだ距離が作…

斜面を感じない

物語というのは斜面です。それは始まりから終りに向けて下り続けています。部分的に平坦だったり上り坂が含まれていたとしても、全体の下る力にそれは飲み込まれ、乗り越えられてしまうほどの例外にとどまります。 この斜面のうえに小説は書かれます。すべて…

小説は小説家が書くもの

小説を書いていていつも苦痛なのは、自分の書いているものが小説だとはどこか致命的なまでに信じきれないまま、信じたふりをして書き続けなければならないというところだ。 これは小説と呼ぶにはボーダー上にあるようなものを私が書いている(そうでありたい…

残雪の書き方

残雪『蒼老たる浮雲』(近藤直子訳)の訳者あとがきの中に「ある台湾の新聞(『中時晩報』一九八八年六月九日)のインタビュー記事」の一部が載っていてそれが残雪の具体的な執筆方法について触れていて興味深いだけでなく役に立ちそうなので引用しておく。 …

手加減なしの残雪

わたしの同僚の父親は火葬場の死体焼きだった。人生の大半を死体を焼いて過ごしてきたため、全身からそんなにおいがした。ある日、その家族はひそかにしめしあわせて、みんなで彼を置き去りにした。彼はひとり寂しく火葬場の墓地のはずれの小屋に住んでいた…

自己ベスト

自己評価と、他者による評価はつねに食いちがい続けるものだろう。 これまで私の書いた八百字小説で自己評価が一番高いのは、今年の怪談大賞に出した中の一本「私の未来」である。私は怪談に、そこに何も書かれていないものの重量を静かにつたえる語りの軋み…

紙に書いた物語、の自由

物語が現実にある家だとすれば、私が必要としているのは家の間取り図だけだ。かつてそこにいたことのある、或いはいつかそこに行くことになるかもしれない家の間取り図。そのようなものとしての物語にしか本当のところは関心が持てない。私が“掌編しか書けな…

鉈と私

昨日締切になったビーケーワン怪談大賞に今年も応募。全投稿作は下記URLで公開中。 http://blog.bk1.jp/kaidan/ 私が出したのは「百合」「バス旅行」「私の未来」の三作。 『てのひら怪談2』十作レビューの過程でかなり明確になってきた、自分の読みたい=…

『てのひら怪談2』を1/10読みながら(その10回目)

ようやく十作目となります今回。開始からだいぶ時間かかってしまいましたが、これで最後です。 一作取り上げるごとに、何か自分の中で怪談や掌編小説について日頃から考えたいこと、について一つずつ考えてみる口実にしようと思っていたのです。が、どうにも…

小説とルール

ジャンル小説はあらかじめ大筋のルールが共有されているところで書かれ、読まれるもの。 非ジャンル小説=純文学の読みにくさはルールがあらかじめ明かされておらず、作品ごとに読者が探しにいかなくてはならないところ(ルールを知らなければどんな小説も読…

『てのひら怪談2』を1/10読みながら(その9回目)

「橋を渡る」峯岸可弥 作者の意識が行き届いた、隅々までコントロールされた文体で書かれていると感じた作品です。 とくに目を惹くのは読点が使われてないことと、冒頭の一文だけが過去形で、残りはすべて現在形で書かれていることの二点ですが、特に後者は…

『てのひら怪談2』を1/10読みながら(番外編)

書くためにする引きこもり、略して書きこもり生活に一旦区切りがついたのでそろそろ残り2作のレビュー再開したいですが、あれは書くのにかなりエネルギー要るのでまだちょっと頭の中の様子見として番外編からやります。 怪談大賞ブログのほうで気になってた…

くどくあれ

私はくどく書くべきだが、回りくどく書くべきではない。後者は何かを隠すためのやり方であり、私は何も隠すものがないからだ。

無意味と作品

私が小説や、小説に似たいろいろのもの(漫画や短歌や実話怪談や批評や映画など)に求めるのはつねに無意味さであると思う。 無意味さというのはただ単に何もないということではない。ただ何もないことに私は無意味さを感じることができない。無意味は必ず意…

週刊てのひら怪談に

ポプラビーチ「週刊てのひら怪談」(毎週火曜日更新)に昨日、拙作「青い花」という八百字怪談が掲載されています。無料なので読んでも損しませんよ。読んだら素晴らしいのでぜひ金を払いたくてたまらない、という人は今度カツカレー奢って下さい。なんか今…

陰謀論と小説

ディックとバロウズの共通しているところは陰謀論の作家という点だ。 そして陰謀論がおもしろいのはキチガイの論理だから。 肥大した自意識がかかえこんでしまった劣等感、を裏返しにするかたちで、自分を陥れようとしている巨大な陰謀の存在を夢見るのが陰…

『てのひら怪談2』を1/10読みながら(その8回目)

「問題教師」貫井輝 八百字という短さは読者より書き手にとっていっそう“短い”のではないか。なんとなくそう思うんですが、たとえば私は短歌もつくるけど、短歌とくらべて二十倍以上の字数があるから書くのが楽かというと、全然そうではない。むしろ短歌より…

声で書く

読み始めてから少なくとも一年以上たつが未だに読み終えない本、が何冊かある。途中で投げ出してそのまま読んでない本ならいくらでもあるけど、たまに読んではすぐ中断し、しばらく放置してまた手に取る、ということを何度も繰り返している本はウィリアム・…

『てのひら怪談2』を1/10読みながら(その7回目)

「怖いビデオ」崩木十弐 私が怪談に求めてやまないのは、単に恐怖とか不思議といった言葉では片付けることのできない、落しどころのない不安定な感情を惹き起こされることです。 そのためか、何も怖いことや不思議なことが起きないのに怪談としか言いようの…

『てのひら怪談2』を1/10読みながら(その6回目)

「使命」水棲モスマン この作品が巧いと思ったのは、レストランの看板絵の取り扱い方です。牛がナイフとフォークを握って、同類の肉を前に笑顔を浮かべる絵。鳴き声に由来する、何のひねりもないだじゃれ台詞を書き込まれた、キッチュな看板絵。この絵をわれ…

『てのひら怪談2』を1/10読みながら(その5回目)

「カミソリを踏む」朱雀門出 この作品は一人称の、ほぼ現在形だけで書かれています。 一人称の語りには“語る私”と“語られる私”という二人の私が発生することはわりとよく知られていますね。 選手と実況アナを一人で同時に務めるみたいな「私」の役割の分裂が…

『てのひら怪談2』を1/10読みながら(その4回目)

「磯牡蠣」有井聡 この作品の魅力を一言でいうと「実話的な迫力」とでもいうべきものでしょうか。 西暦や固有名詞、バカ牡蠣という馴染みのない言葉などが説明無くいきなり並ぶ。怪異もその流れで当然のことのように描かれる。いちおう不思議な事件として語…

『てのひら怪談2』を1/10読みながら(その3回目)

三回目をやります。朝晩咳が止まらなくてつらいです。 「灯台」牧ゆうじ この作品、まず文章が好きです。文章にかぎっていえばこの本の中で一番好きかもしれない。 私は教養がないのでアホみたいなたとえになりますが、翻訳小説みたいですよね。○○文学、とい…

『てのひら怪談2』を1/10読みながら(その2回目)

「厄」松本楽志 この作品は『てのひら2』の中では比較的読者を選ぶというか、広く流通するタイプの書き方ではない小説ですよね。 批評用語としては間違った使い方だと思うけど、「厄」はリアリズム小説ではない、という言い方を仮にしてみようと思います。…

『てのひら怪談2』を1/10読みながら(その1回目)

今気づいたけど私の選んだ十作。筆名を見るかぎり、作者が全員男性っぽいですね。実際は違うかもしれないし、事実そうだとしても偶然にすぎないけど、こと怪談掌編に限れば私は男性作者の書いたものが好きなのかもしれない。と、何となく納得してしまうとこ…

『てのひら怪談2』を1/10読みながら(その0回目)

『てのひら怪談2』収録作者による全作レビューがあちこちで進んでいる(参照:http://blog.bk1.jp/genyo/archives/2008/12/post_1191.php)。尻馬に乗って何か書きたいけど、全作はまずむり。感想を百本分書き分けるには、私のもちあわせの引き出しが少なす…