偽物の両親が私の働かないことを嘆くので「偽物の癖に煩いんだ」と怒鳴りつけた。二人は顔を見合わせ「いつから知ってたの?」と訊いたが「俺には分かるのだ」とだけ答えた。
庭掃除を弟子の円枢閣に命じて外出した。帰宅すると庭が線香臭い。「ひと掃きするたび人骨が浮いて出るので供養していた所です」そう云って掌に見せたのは錆付いた釘だった。
とび回っている蠅を店員の大女が何度も打ち損じた。そのたびテーブルで箸立てが揺れた。よく見ると女の眉から細い糸がのびて蠅と繋がっている。あれで考えが伝わるのだろう。
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