午後遅く、弟子の円枢閣が電話に出ると無言で切れたといって腹を立てている。三回目には私が出ると相手は仕入先の紙屋で「先生の家は犬が電話を取るのですか」と驚いていた。
床下が雑踏のように騒がしいので零時になったのだと分かる。毎晩日付が変わると五分間だけそれは続くのだ。畳を上げて覗けば音は止むが、その分翌日に雑踏の時間が長くなる。
階段の途中に絵を飾るのはよくないよと四垣さんに言われた。階段ではじっと眺める人がないから絵の柄が変っても気づかれない。ゆえに呪術の装置に使われやすいのだという。
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