●「回路」黒沢清(テレビ)
見るのは二度目。
いろいろあって終盤、世界が壊滅的になってるんですが
「○○県○○市 ○○○○さん ○○才…」
と、ひたすら住所氏名年齢を読み上げていくテレビが怖かった。
基本的には、飛行機事故などの犠牲者を延々と読み上げる
ニュース番組みたいなものなんですが、
そのときテレビの画面が、ふつうのスナップ写真なんですね。
で、何人か写ってるうちの一人の顔だけ
四角い黒枠で囲んであるんですよ。
心霊写真で、霊のうつってる部分を枠で囲む
というのの応用だと思うんですが、黒枠ですからね。
ここに霊がいます。のかわりに
この人は死んでます。ということですよ。
すごいなこれ。感動的な不穏さ。
でも前に見たときはぜんぜん記憶に残ってなかった。
とちゅうで話を見失ってしまったんでした前回は。
なんか「ネットホラー」という先入観にひきずられたんだっけ…。
で、不穏なテレビですが
根本敬「魔性の母乳」というマンガにこれとちょっと似た感じで
「その日しめられた全国の鶏を順番に総て紹介する番組」
というのが(シャブ中の幻覚として)出てくるけど
いずれも悪夢の中に出てくるテレビ番組という感じですね。
あと、なんか意外にも(と思ったんだけど)
円谷プロっぽい怪奇テイストの映画だと思った。

●「ドリフターズですよ! 冒険冒険また冒険」和田嘉訓(テレビ)
ほかのことしながらだったので、ほとんど頭に入りませんでした。
でもほかのドリフ映画や、ビートルズやスパイダースの映画も
頭に入らなかったり寝てしまったりばかりなので
なんかほかに理由があるのかもしれない。

●「F/X 引き裂かれたトリック」ロバート・マンデル(ビデオ)
特殊効果のプロがトリックだけを使って敵を倒す。
というあらすじを見て、次々と魔法みたいな忍術みたいな
ものを繰り出すのを期待したのはちょっと期待しすぎでした。
道に人形を落として車に轢かせ、人を轢いたと思わせて
そのあいだに逃げるというのはよかった。忍法っぽくて。

●「ツールボックス・マーダー」トビー・フーパー(ビデオ)
とちゅうまでダリオ・アルジェントの映画みたいでした。
ちょっと非現実的で密室的な空間で
次々と人がバラエティ豊かな方法で殺されていき…
でもサスペンスが息苦しくて単調だと思って飽きてきたら
主人公の女がアパートのひみつを調べ始めるあたりから
俄然おもしろくなってきた。
なんかすごーく楽しそうに調べるんですよ。
それまで殺人鬼の影に怯えて(彼女だけが異常に気づいてる)
すごく孤独で暗い顔してた主人公が
とつぜん探検ごっこするみたいにうきうきしてるの。
その後も主人公はもっとひどい密室で恐ろしい目に合うんですが
前半とちがってなんかワクワクするんですね。見てると。
建物の迷宮性とか、死体の玩具っぽさ(ちゃちという意味じゃない)
とかに開放感があるんです。密室なのに。


…以上、ミクシィからの転載でした。
こうして読むと文体がちがいますね。
妙になれなれしい。