水ですから。

低いほう低いほうへと流れていくうちに、いつのまにこんな遠くまで来ていた、というのが私は理想だな。ていうかそれしか考えられないな。
どんなにわずかな低さも見逃さず、逆にあらゆる高さには目もくれず、ひたすら低きに流れ続けることで事後的に、すでに後にした場所としてのみ高さが見いだされるわけです。
しかし高さよりはるかに遠さであるような距離を隔てて。
滝のように一気に落下してはいけない、ということだけを気をつけねばならない。それでは全然距離が稼げないから。
できるだけゆっくりと時間をかけて、いろんなめずらしい景色を見て回りながら静かに徐々に堕ちていくように。
それだけを心がけるように。