いま読んでたり読み終わってたりする本

●『ヘテロセクシャル岡崎京子
私は『ヘルタースケルター』が好きで『リバーズ・エッジ』はあまりいいと思わないのだけど、後者が劇的な要素をいくつも投入してってドラマを強引に盛り上げるのに対し、前者は劇的な要素でぱんぱんに膨れた設定を最初から示し、それがおのずから瓦解していく過程を見せるという違いがある。つまり『リバーズ・エッジ』はドラマチックな要素がインフレにおちいってるんだけど、『ヘルタースケルター』はドラマチックな要素が最初から紙切れというか偽札としてあつかわれているようだ。あとがきで著者自ら「過渡期」「中途はんぱな感じ」と語っているこの作品集は、たぶん書かれた時期も近い『リバーズ・エッジ』と同じでドラマチックがインフレになりそうな気配がある。
●『文学的商品学』斎藤美奈子
この人の書き方って田中康夫と似てるのかな。ですます体だけかな。
●『逆まわりの世界』フィリップ・K・ディック
逃亡中のティンベインとロッタに襲いかかるこども暗殺団がすばらしい。ディックは殺しの場面がいつもすばらしいと思う。なんかドキドキするし、そういうシーンになると突出してくる異常さがある。『ユービック』の天井に風船みたいに浮いてく爆弾ロボットとか。
●『映画の魔』高橋洋
まだほとんど読んでいない。ちびちび読む。