尻の穴の世界のダーウィン賞

小説すばる八月号、平山夢明ダーウィンとべとなむの西瓜」読む。
主人公の相棒が突然始める「尻の穴の世界のダーウィン賞」の話が超無意味で素晴らしすぎる。
平山さんの超おもしろい即興トークが小説の中で突然始まったみたいでびっくりだ。
(参考・平山さんの超おもしろいトークの実際はここで知りました。感動的な面白さ。
http://blog.livedoor.jp/mi_kashima/archives/50953476.html
構成のわりとゆるい作品なのが、平山夢明という人物そのものの面白さをナマで伝えるのに功を奏している気がする。
こういう話が延々と死ぬほど続くだけの長編も物凄く読んでみたいと思った。
雑誌巻末の「カーテンコール」(平山氏が書いている)を読むと、今作の仕上がりに作家自身納得してないような感が何となく窺えるけれど。
いつもなら確かにこういう平山式自動書記みたいなナンセンスで混沌とした部分が、さらに大きな奇想の大枠にはめ込まれるという力技があって、それがもちろん壮観で孤高の仕事ではあるのだけど。
圧倒的な大技がない分、作者の頭の中の景色が直接覗けたみたいな得した気分が味わえる。
作品の最後の一文も、この作品の末尾に付されてるからこそ余計にぐっと心臓に迫る、無防備に触れてしまったような痛みがあった。
傑作。