はじめて降りた駅

落雷でPCが破損し、一ヶ月以上ネットを離れている。数日の禁断症状を乗り越えると、この状態(ネットにおいそれとは繋げない毎日)が「正しい」状態だと感じるようになった。すると一日はちゃんと24時間あるし、本は読めるし、昨日と今日は違うし、私は私だし、あなたはあなたなのである。つまりネット常時接続になる以前の、五年くらい前までの世界がちゃんと今もあった。驚きである。
ネットを完全に断ち続けるのは、今この国に生きる貧乏人には難しい。ぜいたくすぎることだ。いずれ戻ってしまうだろう。その時のために、ネットの利用を大幅にコントロールすることを今から予定している。このブログはたぶん閉じると思うが、今しばらくこのまま放置しておく。


作家・翻訳家の西崎憲さんのサイト「はじめて降りた駅」というウェブアンソロジーの企画があった。「その駅で降りたのははじめてだった」という内容の一文で始まる作品、という縛りの募集で、私は「潮干狩り」という小説を載せていただいている。
このところずっと思い描いていた書き方、自分にちょうどいい小説の書き方がはじめて実践できたように思う。これからはこういうふうに書いていくのだ、という指標になる作品が書けたと、自分では満足している。こういう企画がなければ書くことができない小説だった。