2006-01-10から1日間の記事一覧

保坂和志「揺籃」(『明け方の猫』所収)を読んで

過去に経験した出来事を今ここで思い出して語る、ということのなかにすでに夢を見ることに通じる道のようなものができている。それは単に過去の経験の正確だったり不正確だったりする再現なのではない。小説は原則として「過去に経験した出来事を思い出して…

「揺籃」のつづき

「揺籃」は終盤になってちょっと二枚目になってしまうところが惜しいと思った。それまでのたとえばトレーナーがとりもちで顔に貼り付いてしまうとか、電車の網棚の上を這って進むとかいう馬鹿馬鹿しい夢のような描写がなくなってなんだか文学的になってしま…