短歌日記(果てある世界)

  • こわれたように笑う ぼくらは海辺へと誰かを迎えに来たんじゃなかった?

 海が世界の果てであることはしょうがない、認めよう。もうこれ以上歩けないその先は、海。足止めくらって僕たちは口々に文句をたれた。なんだって海なんだこんなに! あっちもこっちも、どっちへ行こうがい・つ・か・は海じゃないか。
 こんなことなら最初からずっと、海にいればよかった、陸なんかにあがるんじゃなかった! 海を捨てなかったやつらは、ほら、あんなにのびのびしてる。でもバカなんだぜあいつら。相当ばか。目あけたまま眠ってるし。カラダ切り刻まれてもまだ、ぴちぴち動いてるし。じゃあやっぱり正解だったのか、陸をめざしたのは。でもそれは僕たちがあいつらより賢かったからではない。なぜならあの頃はまだ、僕たちだって相当ばかだった。目あけたまま眠っていた。だから偶然にもぼくらは海を捨て、こうして狭い地面にへばりつき、世界の果てに囲まれている、ぼくらは今夜、ばかをのがれたお祝いに、回転寿司など食べに行く。