2003-08-26 小説ノート 小説 『容疑者の夜行列車』多和田葉子 を読書中。異国で夜行列車に乗る、という設定の物語を二人称で描く「定型」をもった連作短篇。オビには「長篇」とあるけどふつうこういうのは長篇とはいわないと思う。 二人称(「あなた」という呼び掛け)で語られる小説の不思議さ。読者が主人公の位置に(仮りに)すえられることで、主人公の姿が死角に入る。よく見えないけれど存在感のつよい主人公、になるようだ。