2003-08-26から1日間の記事一覧

短歌日記(誘拐された言葉)

箱庭は閉じている。閉じていて、この世の現実とは隔絶しているがゆえに、現実ではないどこかべつの世界とつながってしまう。別世界の覗く窓になる。 暗闇のわれに家系を問ふなかれ漬物樽の中の亡霊 寺山修司 ここにある「暗闇」も「家系」も「漬物樽」も「亡…

小説ノート

『容疑者の夜行列車』多和田葉子 を読書中。異国で夜行列車に乗る、という設定の物語を二人称で描く「定型」をもった連作短篇。オビには「長篇」とあるけどふつうこういうのは長篇とはいわないと思う。 二人称(「あなた」という呼び掛け)で語られる小説の…