短歌日記/連作のアイデア

 好みからいうと、一首ごとにいちいち足止めをくらわされて、何度も読み返してつぎの歌に進めないような歌が好きだし正しいと思う。にもかかわらず、複数の歌がならべ置かれたときには連作的な構成の意識がつくり手にも読み手にも必ず生じてしまう、という点はどうしても無視できない。連作はこの「構成」の問題に積極的な価値をもとめた表現方法だと思う。
 連作全体をひとつのパズル、一首ごとの歌をパズルのピースにたとえると「ピースをはめ込んでいくほどに、なぜか欠落部分が殖えていくパズル」のような連作をかんがえてみる。一首ごとに世界が足し算されていくのは当たり前すぎるので、逆に引き算されてしまうほうが面白いから。つまり個々の歌がマイナスの数になる?

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