短歌日記

題詠マラソン2004 、4/20までの投稿分。()内はお題。

やや低くとどまる月に鳥肌が浮いて再入力のパスワード (031:肌)
百つぶの眠り薬のねむたさでバナナ・ボートが眉毛をはこぶ (032:薬)
ひさしぶりの真夜中だから握手する半分砂にほどけた腕と (033:半)
荒海に影がただようゴンドラは月へふたりをつれ去る頭痛 (034:ゴンドラ)
わたくしと私による二重唱もんしろちょうは咽せるほど飛ぶ (035:二重)
流刑地は蜂の羽音につつまれて時おり落ちてくる手のひらに (036:流)
愛嬌がセーラー服を着たような死神だった日傘のうえに (037:愛嬌)
くちびるにハイビスカスを震わせて連絡を待つ あらあらかしこ (038:連)
黒髪をひきずる今朝の彗星にかけ損なってうかぶモザイク (039:モザイク)
きらめいて奈落へのびる階段をねずみの耳の人がみちびく (040:ねずみ)