w.c.

 屋根の上を裸足で歩く弁護団から今夜の代表として一人、ぶら下がってくる。傘の柄を雨樋に引っかけてご苦労にも土砂降りの中を。
 読み終えた新聞をぼくはどこかそのへんに放り投げた。パズルをぶちまけたように散らばる文字。
 トイレから戻ったぼくが見たのは、窓の外を揺れる一本のこうもり傘だけだった。

黄色い線の内側

 駅だと思って切符を買ったのに、くぐり抜けたのは改札ではなくモーニングの右袖だった。
 ぼくは呼ばれてもいないパーティーの受付で足止めを食らい、目当ての電車に乗り遅れる。ローストビーフを切り分ける男の脇の下を回送列車が通過した。