食欲には何もやるな

 今日(ではなくすでに昨日)ドン・キホーテで118円という安さで売っていたので買ったK社の野菜汁プラス果汁プラス乳酸菌飲料という、体によさそうな組み合わせのパステル調の緑色の飲み物(マスカット風味)を夕食(食パンにブルーベリー・ジャムを塗ったものと野菜サラダ)のときに飲んでみると、期待に反してトイレ用洗剤の味がしたので一気に残念な気持ちになった。
 トイレ用洗剤という連想は体によさそうな(たとえば青汁のような)不味さとは受け取れないものなので(この連想さえ働かなければたぶんべつに不味くもないのだろう。もちろんトイレ用洗剤を飲んだらこの味がするわけではなく、あくまで匂いと味を取り違えた不正確な連想でもあるのだ)(でも匂いはトイレ洗剤の匂いじゃないところが謎だ)、たとえ不味くても健康にいい(という気分だけは味わって飲める)だろうという期待は打ち砕かれたのだが、喉が渇いていたのでもう容器の半分くらい飲んでしまった。だが慣れない。
 ブルーベリー・ジャムはダイソーで買ったのだが量がけっこう多くてしかもいきなり大量のブルーベリーの粒が、スプーンに掬い取られて食パンの上にごろごろと並ぶという予想外な収穫があった。これはすごいと二枚目の食パンにとりかかると今度は紫色のゼラチン状のもの(色以外にブルーベリーの果肉感が皆無)だけが掘り起こされて来、おかしいなと思って瓶の中をほじくり返したがまだ中身の九割がた残っているジャムにすでにブルーベリーの粒は数粒しか確認できなかった。つまりほぼすべてのブルーベリーがジャムの表面に、色以外にブルーベリー感の希薄な大量のゼラチンの表面にトッピングのように載せられていたわけで、最初の感動はたちまちしぼんでしまい百円ショップで買ったジャムに相応のお得感・いいかえれば・悲しみだけが残されたけれど、この悲しみは私があらかじめ期待したものと似ている。私が生活のすべての場面において不本意にもひそかに登場を期待しているあの悲しみとそっくりだ。
 本人なのだろうか。