超怖Η全話ショートレビュー(1)

「超」怖い話シリーズの最新刊、平山夢明編著『「超」怖い話H(イータ) (竹書房文庫)』(Ηはエッチじゃなくギリシャ文字でイータと読む)を田町のローソンで見つけたので購入。
 ここ数年は半年ごとの刊行というハイペースが定着している。それでも次回は半年後まで確実に読めないのだから、この一冊をもっと注意深く、一話ごとに足を止めて景色を十分見わたしてから次へ進む、空けた皿をぺろぺろ舐め回すような貪欲な読み進め方をしたいものだと思った。全話の短い感想というかメモをここに残すことに決める。これが縛りになって先走れないように。
 巻数が増えたことで、私の容量の小さい頭に最近は一話一話の輪郭まできちんと収めきれなくなっている。それは何とももったいない話なので、リマインダとしての役目もこのメモに期待しつつ。収録一話目から順番に全話。つぎの巻が出るまでには全話終らせるくらいのゆったりした気持ちで。リマインダとしての効率と未読者へのネタバレ防止の機能を兼ねて圧縮かけて。

海豚

名作「焚き火」が彷彿とするウインドサーフィン地獄巡り。とりわけ大好きなタイプの平山怪談。しかも傑作。

古書店にて

古代中国に移したら諸星大二郎の諸怪志異に出てきてもいい。

飴鬼灯

マクガフィン物。ノスタルジーと恐怖を無意味に連結する飴鬼灯。

小品。「桃の缶ほどの瓶」というさりげなく捩れた(瓶を缶に喩える!)直喩に注意。

よくある怪談がこんなに「読ませる」ことに注意。一行目(歪な高台云々)が全体をうっすら支配。つまり地形が裏テーマ。終り近くのわずかな会話に圧縮された情報量の事後的な(さりげない)爆発にも注目。