超怖Η全話ショートレビュー(2)

平山夢明編著『「超」怖い話Η』全話の感想。その二回目。

どんどん変に……

平山怪談の定番話法にふいにおとずれる切断。必要最小限の言葉で(最小限ゆえ機械のように容赦なく)地獄のとば口まで運ばれる。

故障

「魂って上にあがっていくものでしょう」という印象的な言葉の余韻の中の一話。

はっきりさせないの

タイトルの持って来かたに惹かれる。微妙に外して余韻をもたらす結末部に注意。

木蓮

ここにも切断が。そしてこの短さの中での振れ幅。目が離せない。


   *


 このところの量産体制を支え、あるいは量産により磨きがかかってきたと思われる平山怪談のミニマルな完成形が、ここに来てとうとう臨界点を迎え自らを食い破りつつあるのを感じる。このあたりの数編はとくにその意味で読んでいて静かな興奮を覚えた。