TVはまばたきする

去年ひさしぶりにツタヤへ行ったらビデオが激減しててそのかわり、見たかった映画のDVDがあれこれ並んでたものだから、それまで全然欲しく思ってなかったDVDプレイヤーが急にちょっと欲しくなり、その後欲しさが徐々に倍増し続けてもうかなり欲しい気分だったところなんですがね。
年末に図書館で借りたビデオをゆうべ見てたら、ブラウン管が時おりパチパチ音をたてて映像が爆ぜるのです。このテレビ、私が大学出て就職二年目くらいに買ったものなので、かれこれ十五年くらい酷使してるわけで、ここ二年くらいほとんど見てなくて休眠状態ですが、たまにビデオ見るとたしかにこう瞬きみたいにパチパチやるのです。なんでかテレビ番組見てるとならないんだけど。
ということを思い出したら、激安DVDプレイヤーならともかくテレビ購入なんて私には不可能ですから、自分の中で今せっかく萎んでる映画方面への欲求(かぞえたら去年借りて見たビデオはたった10本程度)に寝た子を起こすような真似はせず今までどおり、この世からツタヤがどんどん薄くなってあとちょっとで消えかかってる世界(映画館はとっくに消滅)にこれからも頭の中で住み続ける私でいよう、ということにしました。


ゆうべ見てたのは西河克己潮騒」。前半の山口百恵の胸苦しいまでの「田舎娘の魔性」っぷりが後半は全然発揮されない話なのがもったいなかったです。男の通過儀礼をめぐるマチズモな「男子たるもの」みたいなウザイ話の添え物みたいな扱いになるのが、読んでないけど原作(三島由紀夫)のせいだと思う。例の焚き火シーンもドラマ上は通過儀礼その1(けっこう前の方にあるんですよね)という位置づけなんだろうけど、百恵はアイドル映画にはあるまじきガチのエロ(しかもロリ)を強烈にかもしだして物語のテーマを骨抜きにしかかる。この時たぶん16か17で、それも凄いけど五年後にはもう引退してしまうんだから、天才の人生ってほんとに速いですな。
西河×百恵の映画は「伊豆の踊り子」も「霧の旗」も百恵の天才っぷり炸裂の傑作だったけど、図書館にあと何本かあるみたいなので全部見てみよう(テレビが本当に映らなくなる前に)。