手の匂い

洗濯中なので手が洗剤くさい。というのは言葉の綾で、実際にはいい匂いがする。なので手の匂いを時々嗅ぎながらキーを打つ。と、打たれる文章が、確実に匂いの影響を受けていく。匂いについて書くわけではないが、匂いによって書かされる。書くことと素材の関係にはそういう側面がある。その意味で素材はつねに文章の外にある。料理の材料のように料理そのものの中にはない。