昨日や今日読み終えた本

文學少女の友千野帽子
著者の前著のタイトルが『文藝ガーリッシュ』というので、何か読む前からどんな本か分かったような気分になり(今もそちらは未読)敬遠していた。
が、テレビブロス豊崎由美氏による書評を読んだらタイトルや著者名(ちなみに男性)のイメージに収まらない本だと分かったので、読んでみたらこれが凄く面白い。
批評といえどたいていは虚空に向けてファイティングポーズ決めてたり、誰かを殴ってもよく見るとこぶしは当てず寸止めだったり、反撃の恐れがない猫とかザリガニみたいな相手を蹴とばしてたり、怖そうな相手を本気で怒らせないよう物凄く気を使いつつ闘ってる(ふりをしてる)わけですよ。
闘ってみせないと批評家としてかっこつかないけど、相手に憎まれたり敵をつくるのはしんどいからやだな。という気持ちはとてもよくわかるので、そこはもう読む側も実際は殴ってなくても殴ってることにしよう。というお約束で芝居を見るみたいな態勢で読むことに慣れてる。
だからこういう「ほんとに殴ってる」批評を読むと、単に殴ってることだけが取柄の本というわけじゃないけど、「ほんとに殴ってるよ!」という驚きと感動を何よりまず伝えたくなってしまいますね。
考えたいけど考える力がなくて考えられなかったこと(ジャンル小説と純文学についてとか)、についてもいろいろ示唆をもらえたありがたい本。


かめくん (徳間デュアル文庫)北野勇作。書いていることの楽しさがじわじわとにじみ出てしまうのがいい。一緒に書いてるような気分で読める。私は「がんばってるなあ」と読者に思わせるような小説は好きじゃない。


文學少女の友

文學少女の友

かめくん (徳間デュアル文庫)

かめくん (徳間デュアル文庫)