恋愛小説ふいんき語り

批評には喋れる言葉で書いてあるのとそうじゃない(書き言葉でしか書けない)のとある。どっちがいい悪いではなく両方あるけど、喋れる言葉で書いてあってなおかついい批評、というのは私みたいに知的股下の足りない、高い敷居になるとまたぎ越せない不自由な脳の読者にとって貴重。たとえば斎藤美奈子とか千野帽子とか、かな。
ふいんき語りシリーズはその貴重な喋れる批評、というかじっさいに喋ってるんだけど、お喋りを聞くくらいの心構えで読めるいい批評の鉄板シリーズ。これもとてもよかった。頭のいい人と喋ったあとみたいなこの“頭のよさの疑似体験状態”のままでいろんなことを考えたい。図書館で借りて読んだけど、本は自分のにして線引いたりページ折ったりしてしゃぶり尽くすのが本当だよなと思った(この本の面白さは瑣末で、記憶に残りにくそうだったから)。自分の本でも全然やらないけど、そうやって本を痛めつけることで体に刻まれることもあるはず。私のように忘れっぽい頭の持ち主、しかもまめにメモ取ったりしない怠け者ならとくに。
こさささこさんのあらすじマンガも一頁で原作をすごいスピードで四往復半くらいしてそうで凄い。

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