小説とルール

ジャンル小説はあらかじめ大筋のルールが共有されているところで書かれ、読まれるもの。
ジャンル小説=純文学の読みにくさはルールがあらかじめ明かされておらず、作品ごとに読者が探しにいかなくてはならないところ(ルールを知らなければどんな小説も読めないから)。
だから純文学では作家性がルールのかわりに使われる。作品数が少なかったり、難解である場合には作家本人のプロフィール的な周辺情報も動員されてルール代わりに仮にあてられる。
その作品がどんなルールで書かれているか、をつきとめることが読むことそのものであったりもする。その場合、つきとめることでそこまでの(読めてなかった)部分もさかのぼって読めたことになる。
ジャンル小説は作品の外にある大枠のルールの中で、読者は作品固有のローカル・ルールを見いだすことになる。作品ごとのルールの集積はまたジャンルの大枠ルールの方にも影響を与える。
いずれにせよ小説には作品ごとに一貫したルールがなければいけない。
ルールが途中で変更されてたり消滅してしまう小説は読むことができない。
一見そのようでありながら読めてしまう、成立している小説は、消えたり変更されたりするルールの外側に、それとは別なルールが貫かれているから読めるのだ。