パノラマ島など

最近読んだ本。


『悪役レスラーは笑う』森達也
『おとうさんがいっぱい』三田村信行
『オオカミのゆめ ぼくのゆめ』三田村信行
『パノラマ島綺譚』丸尾末広
ゲーム的リアリズムの誕生東浩紀


以前ディック本(『フィリップ・K・ディック・リポート』)によせた評論で東浩紀は、いずれ本格的なディック論を書くことを仄めかしてたのだけど、この本はそのまだ(たぶん)書かれていないディック論のかわりに読めるところがかなりあると思う。
ここでゲーム的リアリズムとかプレイヤー視点の文学と呼ばれているものが、ディックにおけるドラッグ的または人形遊び的リアリズムとでもいうべきものとひどく似ている、というところが私がライトノベルに(ほとんど読んだことはないが)部分的に非常に惹かれるところがある、理由のひとつなのだろうなあと思う。本格的なディック論のほうも改めて読める日を待ちたい。
三田村信行は薄暗くて救いがないのがいい。でも矢玉四郎のあとに読むと何となくちょっと生真面目には感じた。
丸尾末広の絵でパノラマ島が読めるだけで凄いんだけど、パノラマ島の描写に入ってからは原作じたいがあまりに「絵になる」世界なものだから、かえって丸尾節が抑え気味になってる気がした。ちょっと今でたらめで無意味な丸尾節が読みたかったので、丸尾地獄IIとかを読み返します。