世界の歪みの肯定

読んだ本。
SLAVE OF LOVEみうらじゅん
ウェブ進化論梅田望夫
『キリハラキリコ』紺野キリフキ
波状言論S改』東浩紀編著
「超」怖い話Μ』平山夢明編著
『文豪怪談傑作選 川端康成集 片腕』東雅夫
『おぞましい二人』エドワード・ゴーリー
『不幸な子供』エドワード・ゴーリー
『恐怖の対談 映画のもっとこわい話』黒沢清
『絶対安全文芸批評』佐々木敦


みうらじゅんの本は前に冒頭をちらっと見てこれはよさそうと目星つけてたら、読んだらやっぱり当たりだった。現実性と非現実性の配合が絶妙というか「何かに書かされてる」感じ。必要なことだけが書かれてる小説。M女が超いやらしく超めんどくさく超いとおしく超おそろしい。
平山さん卒業超怖。作者当てしつつ読む。新著者二人も平山文体を踏襲してるので見分けにくいけど、何となく違いが掴めてくる。私が超怖を読み始めたのはたぶん15年前。15年…。後書きで平山さんが「日頃のお仕事やお勉強、生活でくたびれてしまったところに、ポンっと放るキャッチボールのようなもの」と実話怪談を喩えてるけど、当時の私は毎日夏休みの現在と違い「お仕事」「生活」という肌に合わぬカツラをつけて脳が酸欠だったので、そこへ「管理人」「二階のないマンション」「五衛門屋敷」「天狗の貼り紙」といった傑作群との出会いがもたらしたいわば「くるい歪んだ景色の肯定」というべき体験は、それが想像でも追体験でもなくまさに目の前に起きている狂気の体験そのものであるがゆえに救済だった。…といった話とか平山怪談とは何か?の話はいずれもうちょっとまとめて書きたい。
川端は(ほぼ『雪国』くらいしか読んでなかった)ロマンチックなのと神経症チックなのがあるんだなあ、私の好みは断然後者で、表題作には両方あるなあ、でもわずかに挿まれるラジオ放送の描写の神経症的というか狂った感じがすごくいいなあ、と思った。病的な話はどれもすごく好みで傑作。