鉈と私

昨日締切になったビーケーワン怪談大賞に今年も応募。全投稿作は下記URLで公開中。
http://blog.bk1.jp/kaidan/
私が出したのは「百合」「バス旅行」「私の未来」の三作。
てのひら怪談2』十作レビューの過程でかなり明確になってきた、自分の読みたい=望ましい怪談のイメージを追い求めつつ初心に帰って書こうというのが今年掲げたテーマ。このところあえて考えないように避けて通ってた「小説にとって恐怖とは何か」という私の人生上の重要テーマも久しぶりに参照しつつ、私が読みたいものの内でもっとも私自身に資源的に可能性のありそうなところを見当つけながら掘り進めた次第。
八百字という制限は一歩目の敷居が低い分、書き始めると忽ち暴力性を露わにしてくるというか、じゃあ物語を始めましょうかと乗ってきた途端に中断を要求される、みたいなところがある。この暴力にどう受身を取るか、つまりこの環境で生きる条件として受け入れた上で、鉈のように振り下ろされた字数枠から傷をいかに最小限に食い止めるか、あるいはあえて大きな切断面を体のどこに受けて見せつけるか、といったようなこの枠内でとるべき身ぶりの様々なイメージが掴めかけたところで時間切れ。というのはいつものことではあるが、今回はイメージと体の連繋が自分ではけっこううまくいった感がある。実作に反映されているかは別として。