読んだ本

『隣之怪 蔵の中』木原浩勝
『映画の頭脳破壊』中原昌也
『怖い話はなぜモテる』平山夢明稲川淳二
『恋とはどういうものかしら?』岡崎京子
『黄泥街』残雪


『隣之怪 蔵の中』を読んで、ここに収録されている怪談はそのまま口頭の語りに移しても(朗読という意味ではなく、同じ内容を話し言葉で一から語り直してもという意味)たぶん怖かったり面白かったりするポイントがほとんどずれたり変化しないのではないだろうか、と思った。体験者の語りを形式的に再現しているからでなく、文章の質という意味でもきわめて口語的なのだ。
そこは平山怪談とはきわめて対照的なのではないかと思う。平山怪談は文章の外に持ち出せない要素を大量に含んでいる、ということは以前ここにも書いたけど、使い慣れない言葉で緊張しながら言い直すと「エクリチュールの怪談」ということになる。文章で書かれていればエクリチュールの怪談になるわけではない。それは書き言葉そのものの中にお化けが出ている状態であり、物語よりもずっと読者の間近で怖いことが起こるのだ。追体験ではなく体験なのだ。


残雪は初めて読んだがすごい。カフカバロウズを同時に読んでるみたい。