筒井康隆の幻想的な短編が読みたくて家から一番近いほうのブックオフに行ったら、以前より価格設定が上がってるような気がして気が滅入る。でも今は家から二番目に近いほうのでかいブックオフは休業中なので、こっちで買うしかない。となりのドラッグストアで卵などを買う。何もかも値上がりしている。もともと何でも底値の一番まずいものだけ拾うように食べて生きてるので、質を落として以前と同じ値段で買うといったこともできず、今までどおりいちばんまずいものを少し余計に金を払って拾って食べるだけだ。ちなみに私はほとんど働かない方針なので超貧乏だが、こないだひさしぶりにバイトして三千円が手に入ったので気が大きくなってその晩飲み会に出た。もちろん予算は三千円と念を押しておいた。そしたらなぜか飲み会で土屋遊さんがギフトカードをくれたし、山口マナビさんもクオカードをくれたので差し引き黒字で実質飲み代が無料になった。血圧が上がった。どんなに安いものも無料にはかなわない。あの視界のひらけ方。無料のものと出会うとき私の中で何かがリセットされる。ブックオフは無料じゃないことだけが欠点だったのに、家に一番近いほうのブックオフがさらに無料から遠ざかりつつあるとしたら残念としか言いようがない。一時期この国のすべての商品が無料になりかけてる気配を感じたけどあれは気のせいだったのか。気のせいだったかもしれない。私はあいかわらず政治に百パーセント無関心なので選挙には絶対に行かないが、それはすべてを無料にしてくれるのは政治家ではなく神様だけだということをよく知っているからだ。投票権を無料で与えられたくらいで私はまんまと騙されないのである。