短歌と小説について、すばやく考える

短歌と小説は当然のことながら長さが大きくちがうのだが、長さの違いとも大きくかかわる性質として短歌は空間的、そして小説は時間的であるという違いがある。短歌につかわれているそれぞれの言葉は一首の中のどんな位置に置かれているかその短さゆえに一目でわかる。それに対し小説につかわれている言葉はそれぞれ、一編の中でどんな位置にあるかもちろん一目ではわからないし、その位置や文脈を確認するために読まれなければならない前後の言葉の量は、それが読まれるための時間をけして無視できない分量をもっている。つまり短歌はそれが読まれる時間をほとんど無視できる(つまり空間的に把握できる)のとくらべて、小説は空間的に把握しようとしても必ず時間につきまとわれる。だから小説空間が間延びした時間でだらけないために物語が必要とされ、短歌にはもともとだらけるほどの時間がないために物語が持ち込まれてもそれは空間的な物語になるのである。か?