小高賢編著『現代短歌の鑑賞101』(新書館)より。
円柱は何れも太く妹をしばしばわれの視界から奪ふ 大西民子
洋傘(かうもり)へあつまる夜の雨の音さびしき音を家まではこぶ
世界の陰画の側に立つ。もうひとつの世界解釈、妄想が立ち上がる決定的瞬間の記録、として読める短歌をみつけると「あ、正しい」と思って目が釘付けに。短歌にあるほんのわずかな可能性(いちおう誤解ないよう付け加えれば、どんなジャンルだって可能性はほんのわずかしかなく、短歌みたいに古いものは尚更針の穴を通すような)の位置を再確認、この一点から目を離さないように。