超怖Η全話ショートレビュー(5)
寒空の下の徹夜バイトから昼前に帰ってきて、眠くてたまらないのだがうまく眠れないまま日が暮れた。頭も体も全然使わない仕事な為疲労がきわめて局部的なものでしかなく、つまり24時間仕事らしい仕事もせずひたすら道端に突っ立ってたり、公園のベンチで震えながらうずくまってたりすることに疑問や不安や怒りなどが湧かないよう、ひたすら意識を低下させ自分を街路樹や放置自転車だと思い込むことが仕事みたいなものなので、そんな仕事によって生じた疲れに対し納得できない部分が自分の中のどこかにはあって、眠るのを邪魔しているのかもしれない。
ぜひもうそんなに頑張らずに納得して私を休ませてくれ、という願いを込めて眠たい私から頑張ってる脳にアクセスするために日記を書くことにした。昨日仕事の休憩中に読んでメモを取ってた『「超」怖い話H(イータ) (竹書房文庫)』の感想のつづきを書きます。関係ないけどさっき風呂入ったら左足だけやけにぬるぬるするので「やべえ、溶けてる」と思ったけどおととい脚が痛いからラブ擦り込んだのを忘れてた。あれ蒸発とかしないんですね。洗ってもすごいぬるぬる取れなかったですよ。
離散の家
やや転調あり二度おいしい。前半さらに「家」がBLACK BOX化されてると後半の墓暴き的展開にドキドキできたかも、とも。
二階
泊まったことのない友人宅、があると気づいて泊まりに行く。というのが面白い。そういう「人柄」に好意的な筆致だが考えようによっては、この「人柄」には薄気味悪いものが含まれている。
稽古
ここにあるのは狂気かもしれない。また、冒頭と末尾の対応とズレのあいだに生じている時間的・空間的なひろがりに注意。真の技術もまた狂気に属している。
訪い
ノックにこの擬音があてられた時点でやばいことが起きるのは決定的である。
着歴
超怖にしてはやや「文学」的な話か。
洗濯機
帰国する大使館員の処分する家財道具。内装は新しいけど築40年経っているマンション。こうした限定がかきたてる想像力。
ごろり
この部屋じゃない方の部屋、というリアル。あの世を覗くために必要な手続き。
塩辛嫌い
衣服への違和感から始まるもの。
また、想像力をつよく刺激すると同時に、映像として「正しく」思い浮かべるには輪郭をはみ出したような比喩は平山節の真骨頂。
最後に重役がぽつりと口にする指示代名詞の選択がもたらすひろがり(夢の中の台詞のようなその響き)にも注意。
不審火
読み返すほど女の台詞からにじみ出てやまない、人生の陰影のようなもの。そんな女がこんな部屋に住むということもまた人生。
立ち蕎麦
会話と描写のリズムにたわみや狂いが生じたら一挙に説得力が失われるというか、成り立たない話だと思う。一行一行ではっとして、最後の「古賀さん」の言葉と同じ心境に読者も最後に立っている。