2008-02-01から1ヶ月間の記事一覧

無意味と作品

私が小説や、小説に似たいろいろのもの(漫画や短歌や実話怪談や批評や映画など)に求めるのはつねに無意味さであると思う。 無意味さというのはただ単に何もないということではない。ただ何もないことに私は無意味さを感じることができない。無意味は必ず意…

フロイト先生はいい先生

「不気味なもの」(岩波書店『フロイト全集17』所収)を読んだ。これはきっと訳文もいいんだと思うけど、最初から日本語で書かれた論文、というか文芸批評を読んでるみたいだった。ホフマンを分析してるからというわけでもない。態度とか手つきがすごく批評…

週刊てのひら怪談に

ポプラビーチ「週刊てのひら怪談」(毎週火曜日更新)に昨日、拙作「青い花」という八百字怪談が掲載されています。無料なので読んでも損しませんよ。読んだら素晴らしいのでぜひ金を払いたくてたまらない、という人は今度カツカレー奢って下さい。なんか今…

陰謀論と小説

ディックとバロウズの共通しているところは陰謀論の作家という点だ。 そして陰謀論がおもしろいのはキチガイの論理だから。 肥大した自意識がかかえこんでしまった劣等感、を裏返しにするかたちで、自分を陥れようとしている巨大な陰謀の存在を夢見るのが陰…

『てのひら怪談2』を1/10読みながら(その8回目)

「問題教師」貫井輝 八百字という短さは読者より書き手にとっていっそう“短い”のではないか。なんとなくそう思うんですが、たとえば私は短歌もつくるけど、短歌とくらべて二十倍以上の字数があるから書くのが楽かというと、全然そうではない。むしろ短歌より…

声で書く

読み始めてから少なくとも一年以上たつが未だに読み終えない本、が何冊かある。途中で投げ出してそのまま読んでない本ならいくらでもあるけど、たまに読んではすぐ中断し、しばらく放置してまた手に取る、ということを何度も繰り返している本はウィリアム・…

『てのひら怪談2』を1/10読みながら(その7回目)

「怖いビデオ」崩木十弐 私が怪談に求めてやまないのは、単に恐怖とか不思議といった言葉では片付けることのできない、落しどころのない不安定な感情を惹き起こされることです。 そのためか、何も怖いことや不思議なことが起きないのに怪談としか言いようの…