2004-01-01から1年間の記事一覧
id:mass-noさん 『ばーか! ばーか! おまえのかあさんでーべーそー!!』 「そーゆーおまえのとうさんハゲあたまー」
カレンダーを眺めていると、たとえば明日や明後日や、十日後や一ヶ月後のそれぞれの日付がホテルの部屋のようにすでにどこかに準備されていて、わたしの訪問(宿泊)を手ぐすねひいて待ち受けているような気がしてくる。 この錯覚はけっこう不快なところがあ…
『短歌があるじゃないか』穂村弘・東直子・沢田康彦 同じ著者たちによる『短歌はプロに訊け!』の続編。このシリーズが面白いのは、プロが「素人」の短歌作品を評するにあたって(こうした企画の定石である)添削はほとんど行われず、批評よりもまず鑑賞の態…
幽霊の「無意味」な恐怖を味わうには実話怪談物が最適。私のイチオシは、中心に意味の空白を孕んだまま構築されてしまうドラマが恐ろしい平山夢明編著『「超」怖い話』シリーズだが、老舗の『新耳袋』シリーズのドラマにならない断片性は九十九話の積み重ね…
夏なので「幽霊」について考えてみよう。 私の持論では、幽霊というのはみなどこかしら気が狂っている。完全に正気な幽霊というのはありえない。いたとすればそれはファンタジーの住人としての幽霊であり、ファンタジーというのは現実を反転させた空想界の出…
おとといの日付で「(短歌の)いわゆる愛唱性と再読性はおそらく厳密には矛盾する」なんてことを書いたのだが、よく考えたら愛唱性とは再読性を含んだものじゃないか、という気がしてきた。あの文章では読者による歌の「反芻」と同じ意味のつもりで「愛唱」…
ホテルにはひかりあふれてその島をやつらが狙う目印になる
以前から謎だったのは枡野浩一の短歌を「読む」ことのむずかしさである。読んでもおもしろいとは感じられないが、積極的に嫌うようなアクの強さも感じない。たとえば片岡鶴太郎の絵を見るとムカムカくるが、枡野浩一の歌を読んでもとくに腹が立つわけではな…
歩かれる右手を蟻にテレビでは行方不明者ばかりをさがす
自転車をひきずる森でかなたより今うでの毛のそよぐ爆発
●『癒しのチャペル』辛酸なめ子 自己卑下のスタイルからセレブを上目遣いにほめ殺しの言葉でつつみこみ地獄の底へひきずりおとすという黄金の展開を浴びるように堪能する。新日本vsUWF5対5イリミネーション・マッチにおける上田馬之助の仕事っぷりをほ…
かたかたと最初にもどる 目をあけておはようと言う 知らない声だ
●本のページを1文字分、三十一ページ下までくりぬいて引きずり出したあとに残った穴ぼこ。 ●草で森を、石ころで山を、マッチ箱で町を表現した箱庭(人間は人形?一本の釘?)。 ●たとえばおまわりさんを「制帽」と「警棒」と「ピストル」であらわしたもの(…
目の前がくらくなるほど正確に寝息をたてるあなたが部屋に
「桜の開花は目前に迫っていた」保坂和志(『新潮』6月号) 保坂氏の小説は読んだことがなくて、エッセイは何冊か読んでいるし『書きあぐねている人のための小説入門』という本ももちろん読んでいて、小説家として信頼している人であるにもかかわらず『季節…
燃えている苺たくさんほおばって火事になるとき私はきれい
『フランケンシュタインの逆襲』テレンス・フィッシャー ピーター・カッシングのフランケンシュタイン男爵がクリストファー・リーの怪物に言葉をおしえ込み、熊のように鎖につながれた怪物を命令で立ったり座ったりさせるというシーンを見て、そうだ『死霊の…
わたし、踊る。わたし、配る。わたし、これからすべての質問にいいえで答える。 斉藤斎藤 斉藤斎藤第一歌集を読む。 まとまりのつかない感想メモをだらだらと箇条書きにしてみた。このなかには今後斉藤斎藤論のキモとして発展させていく部分もあれば途中で捨…
日本国民ならば誰でもご存じのようにあらゆる短歌(57577)はわれらが国歌「君が代」(名曲だよネ!)のメロディで荘厳に歌いあげることができるのだが、それは歌詞にたまたま短歌が採用されているからにすぎないなどと呑気にかまえてていい事態ではな…
あいつならここにいるよとピストルで自らのこめかみを示した
数日前短歌がらみでちょっと特殊な経験(私にとって)をしたせいで、いま頭のなかで短歌の細胞が膨らみすぎてほかを圧迫している。しばらく安静にして頭の中の短歌をなだめすかして熱をとって大人しくさせないといろいろまずい後遺症が出るかもしれない。 だ…
アッシャー家 ブックオフでビデオを買う。聞いたことはあったり聞いたこともないようなホラー映画や女族物がやけに充実したその日の棚だった。迷った末『アッシャー家の惨劇』(ロジャー・コーマン)と『チンピラ』(青山真治)を買った。『アッシャー家の惨…
おいしそうだった動物ほんとうは食べられない動物だった 青空
足跡にみえたんだっけ点々と貝殻をたどるうちに真夜中
砂浜で風にころげる水玉のビニール・ボール きのうもあった
まだここが海と決まったわけじゃない 揺れているのは髪かもしれない
書くもののかわりにくれた板ガムに爪たててメモる十一桁を
近所のブックオフは店自体でかいからだろうけど歌集の棚が充実してて、ネットでよく見かける歌人さんのあたらしい歌集などもちらほら見つけることがある。著者謹呈の紙片がはさまったまんま売られてる歌集も多いので、送られてきた歌集はかたっぱしからブッ…
七月になったことだし、がんばって小説でも書くかな。五十枚くらいのを八月末くらいまでに。